2008年12月9日火曜日

それでも「スターの恋人」が気になる理由

いわゆる"韓流ドラマ・スター"が、韓国ドラマを見ない人のみならず韓国ドラマファンの間でも揶揄されるようになったのはいつ頃からだったか。

(韓国内より)日本で活動して、日本での方が人気が高い俳優が韓流スターなのか、日本で放映されて人気が出た作品が韓流ドラマなのか、はたまた韓流スターが出ている作品が韓流ドラマなのか、韓国ドラマ≒韓流ドラマなのか???
韓国ドラマを見るようになってそれなりに経つ私自身も、韓国ドラマ(俳優)と韓流ドラマ(スター)の呼び名と内実、区別を的確に説明できないというのが正直なところだ。

ただ、"韓国ドラマ"ファンを名乗る熱心な人たちの中には、自分が応援したり好きな韓国ドラマと俳優は差し置き、"韓流ドラマ(スター)"に対する拒否感や嘲弄、差別感を多かれ少なかれ抱いている人がいるのではないかと思う。それ位、日本における"韓流"という言葉には、複雑微妙なニュアンスと感情が交錯している。

かく言う私自身、"韓流"という言葉自体が"後追い"的に近付いて来たという思いの方が強く、自分の好きな俳優やドラマと"韓流"というものは"別物"であると自分自身に言い聞かせつつ、長らく韓国ドラマに接することが続いた。
しかし、いつしかそのような危うい気持ちは怒涛のように押し寄せる"韓流"の大波に少しずつ呑まれてしまうことになった。

もはや、自分の好きな多くの俳優たちが"韓流スター"の仲間入りをしたという事実を否定することは、いくら自分に都合が良いように受け取ろうとしても無理があるし(苦笑)、自分が好きなのは"韓国ドラマ(俳優)"であって"韓流ドラマ(スター)"ではないという都合の良い主張は、単なるタワゴトに過ぎないと観念してから少なくない時が過ぎてしまった・・・



で、明日からスタートする「スターの恋人」である。
"韓流スター"の第一人者の一人であるチェジウ主演、韓国での報道によると、既にNHKでの放送も決定し、再び日本での"韓流ドラマ"熱風を期待されているらしい作品だ。まさに、韓流スターによる韓流ドラマ・・・韓国側関係者(一部日本の関係者)の思惑やチェジウさんをはじめとする主演者のファンの期待とは違い、「スターの恋人」に対する諸々の事前情報から、この作品に対する韓国ドラマファンの反応はそう高いとは想像し難い。

しかし、それでも私が「スターの恋人」に少なくない関心を持っているのは・・・この作品がオスヨン作家の作品だからである。

オスヨン作家と言えば、韓流ドラマ「冬のソナタ」の原案を担当、「秋の童話」で日本でも有名な作家だが、私にとっても、彼女は韓国ドラマの作家の中で数少ない最も信頼を寄せている作家の一人だ。前出の作品の他「イヴのすべて」「クァンキ」「四姉妹物語」、そして私が大好きな「ラブレター」、近作では「ウェディング」などなど、けして多作の作家ではないものの、繊細で緻密な心理描写や展開には定評があり、完成度の高い作品を数々生み出している。

日本で人気が出た作品の作家ということで、オ作家自身も"韓流ドラマの作家"という荷札は外せないのも事実。最新作「ウェディング」では、韓流スターを起用、日本ロケも行われるなど、この作品に対する事前の評判は"日本の視聴者向けの韓流ドラマ"という冷笑を避けられなかった面があったような気がする。
しかし、「ウェディング」を見たことがある人なら、その前評判がいかに的外れだったのかを悟ったはずだ。

日本でも韓国ドラマがアメリカドラマ以上に多く放映されるようになった。いかにもというコテコテの韓国ドラマは健在である一方、そんな作品を古臭い、食傷するという風潮も強くなると共に、韓国ドラマっぽくない新しいテイストの作品もまた増えて来た。

だが、今一度振り返ると、オ作家の作品からは、その両者とも微妙に違う"オスヨン"だけの韓国ドラマの世界を感じることが出来たような気がする。そして、その世界こそ"韓流"という言葉がまだまだ目新しかった頃に、日本のファンが韓国ドラマに魅了された原点だったのではないだろうか。

そうは言っても、今現在の韓国でも日本でも、「スターの恋人」が高い人気と成功を得ることが出来る保障はない。寧ろ、諸々の先入観もあって、厳しい結果になる可能性の方が高いのかもしれないという憂慮も捨て切れない。

でも・・・それでも私にとっては、「スターの恋人」はオスヨン作品というだけで大いに気になる作品なのである。